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金子コレクション

投稿 藤田需子 2021年2月2日

*写真提供:金子静雄

村の若手衆のお一人の金子さんが、最近撮った貴和の里の写真を送ってくださいました。

素敵な景色がありましたので、ここでオンライン写真展を開催します。どうぞ金子さんの貴和の里をお楽しみください。

轡井神社
お節料理
金子さんの自宅前

久恵さんの夢

投稿: 2020年9月20日

2020年8月28日、貴和の里のある下関市菊川町に住む佐々木一家に、新たな一員が加わった。出産当日は家族全員で地元の助産婦さんの家に集まり、そのおめでたい瞬間を祝った。出産した久恵さんは、埼玉生に生まれ育ち、東京で一人暮らしを始めた。しかし、彼女の母親の故郷である菊川町は、毎回訪れるたびに魅了されていた。

久恵さんが結婚し、最初の子供を出産したとき、東京は子育てには向かない場所ではないかと思った。子供達には、自然の中で生きることの重要さを理解し、自立した人間になってもらいたい。そう考えていたころ、丁度時期を同じくして、地元で育てたものを季節に応じて食べることを推奨するマクロビオテイックの考えに出会った。何を食べるかが、その人を作る基本だ。久恵さんとご主人は、数年間移住について相談し合い、3人目の子供が生まれた後、ついに2018年に菊川町に移り住むことを実現した。

彼女の健康で美味しくて安全な食べ物に対する興味は、菊川町にプラサール*というベジタリアンレストランを開店する動機となった。ここでは、工夫を凝らした季節折々の野菜料理が提供されている。日本ではベジタリアン(肉と魚以外のものだけを食べる習慣)という食の思想に対する認識はまだ少なく、特に菊川地域では知られていないので、これは一つの挑戦である。しかし、彼女は意欲満々だ。プラサールを”善い食文化”の情報拠点として、料理教室運営、美味しいビーガン・ジャンク・フード(特に厳しい菜食主義のための美味しいおやつ)開発、母親の集い、オーガニックの材料を使った給食の配給など、夢は膨らむ。

菊川町は、家族で住むのに理想的な場所だと思う久恵さんだが、果たして地元の人々は、この価値をしっかりと感じているだろうか、と思うこともある。住民の興味や技術などが表現され、交換される場がもっとあったほうがいいのではと。例えば家族や子供たちが参加でき交流できる、地元の人々のためのイベントなど。小さな環境で、人とモノと経済をうまく循環させることが、そこに住む人々の日常を豊かに、そして面白くしていくと思う。シンプルに毎日を楽しみ、その中で、ちょっと新しい事に挑戦する勇気をもつこと、それが大事だと、久恵さんは思っている。

*プラサール=ヒンズー語で「循環」

箕と風

投稿: 2020年9月4日

箕(み)はその昔、米の選別で使われていた道具である。日本では 竹を材料にして作られていた。

竹は、不思議な木だ。一日で80センチから100センチ成長し、中は空洞である。古くから伝わる物語では、かぐや姫という月の国の子供が地球に下りてくるときの、その誕生の場所として設定されているというのも面白い。

古代、米の収穫時期で風の強い日には、箕は米ともみ殻の混ざったもので一杯になる。農夫がそれを持ち上げ、ちょっとしたテクニックでもって、うまい具合にゆする。すると軽いもみ殻は風で横に吹き飛び、重さのある米は下に落ちる。20世紀になると扇風機が発明され、この過程はより扱いやすくなった。

かつては、この箕という竹籠のように、農作業で使う機具を手作りすることは、農夫にとって当たり前のことだったという。しかしながら現在では、そのような籠編みの技術をもった人材も少なくなってきたということだ。

貴和の里で行われる毎年の国際スクールでは、このような地元の技術者を招待し、竹籠編み、日本庭園の整備、土塀の作り方、伝統的な食材保存と郷土料理など、失われつつある技術を参加者に直接伝授していただくワークショップを行っている。

蜂の家、土壁テクニックで

投稿: 2020年8月2日

昨年の夏の国際建築スクールでは、村に役立つ建築物を建てるという目的で、伝統的なスロベニア式蜂農家のアイデアと、日本の建築技術を取り入れた、ハイブリッドな蜂の家を建設することとなった。世界10ヶ国から集まった有志に地元技術を伝授するワークショップでは、近郊在住の技術者である福田さんが「版築」と呼ばれる日本の伝統的な壁建築を教えてくださった。これは、地元でとれる竹を素材として壁骨を作り、そこに参加者が裸足で練り上げた、土と藁を混ぜた特製の漆喰を塗っていく作業だ。

福田さんは、山口県下関市豊浦町にある安養寺を建てた隈研吾とアソシエーツ のチーム技術者のお一人だ。その時期は、自宅の作業場で60㎝x30㎝の漆喰ブロックを山ほどつくったという。ブロックは空気で乾くと自然の換気能力を発揮し、12世紀の木造彫刻である阿弥陀如来座像を、特別な空気調整機なしでも守ってくれる。また隈氏のデザインしたブロックごとの隙間が、自然の光をほどよく取り入れる仕組みになっているのも素晴らしい。

最近は版築技術についての興味が増してきたようだ、と福田さんは言う。昨年の貴和の里でのワークショップ以来、この技術を大学の建築学科の学生や建築家にデモンストレーションする機会が何回かあったそうで、現在も現場作業を担当しておられるということだ。

「状況は前向き、お仕事が忙しくなってきてますね」というと、

「もちろん、もうフル回転!」という元気のいい答えが返ってきた。

2019年の貴和の里国際建築スクールでの、版築技術ワークショップより
貴和の里蜂の家の壁が、その版築技術を取り入れた。

えひめAI 台所で作る有機肥料

投稿:藤田需子 2020年7月20日

貴和の里に集う会の会長の吉村さんは、菌と酵素の有機栽培を提唱する一人である。愛媛県の曽我部さんが開発した、自家製の有機肥料である「えひめAI」のことをご紹介くださったのも、この方だ。

吉村さんによると、開発者はこの混合方法をできるだけ多くの人に知ってもらい、科学薬品を使わない、環境にやさしい育成を推奨したいと思い、あえて特許をとらず、一般に広くその方法を公開しているとのこと。

「えひめAI」は、健康で美味しい野菜を育てるのに貢献するだけでなく、家の掃除、皿洗い、入浴剤、消臭などにも使える優れものだ。その溶液は、有能なバクテリアを含んでおり、これは、土地や海をきれいにする酵素の力を持っているとのこと。下記は、自宅でできる「えひめAI」の調合方法で、500mlの液を作るレシピ。吉村さんが口頭で説

明してくださった時のメモを基に、愛媛県のウェブサイト等も参考にさせていただき、ここに改めてまとめた。

材料

納豆*: 1 粒 (豆そのものではなく、その豆に絡んだヌメリを使う)

ドライイースト: 2gか3g程度

ヨーグルト: 25g

砂糖: 25g (何の種類でもいいが、黒砂糖は最適)

水: 450ml (35℃) サイズの清潔な空のペットボトル

* 納豆とは – 発酵した大豆。ヨーロッパではアジア系の食材店で販売。

作り方

1 砂糖とイーストをボールにいれて混ぜる。

2 ヨーグルトを加え、全体を混ぜる。

3 納豆一粒をこしアミにいれ、ボールの上にかざす。

4 35℃の湯を450mlほど、豆の上からゆっくり注ぐ。ヌメリをしっかりと含む湯が、ボールの中に落ちるように。

5 こしアミをはずし、ボールの中身を混ぜる。出来上がった液を500mlのペットボトルにいれる。

6 キャップを軽く閉め(発酵の空気が抜けるよう隙間を作る)、暖かい場所に保存。理想的なのは、30℃- 40℃ の環境で3日ぐらいそのままに。私は温度調整の機材など無かったので、ボトルを保温性の高い紙や布でよく包み、台所の暖かいことろに置いた。吉村さんも、そのまま室温に置いておくそうだ。

7 出来上がった液は2つの種類に分かれる。上部は濁っているがサラサラの液と、下部は沈殿したペースト状。上部と下部をそれぞれ違う容器に移し替えて保存し、目的に相応しい用途に使用する。

完成した状態とは

Phバランスを調べると、3phから4phが完成の目安とういうこと。phキットは近郊の薬局で販売しているらしい。もしくは感覚的に”甘酸っぱい”匂いがしたら、出来上がりという判断もできるとのこと。室温にもよるだろうが、私の場合は4日位でこのような匂いになった。

肥料の使い方

サラサラ液のほうは、植物に吹きかけることで、元気に育ち、実りもよい。吉村さんの毎年の収穫は、この肥料によって美味しく見事な出来になっているのだろう。また、食器洗い、部屋の嫌な匂いを消すなど、色々と用途はあるようだ。いずれにしても、原液を100倍から500倍ぐらいまで伸ばして使うことで十分効果があるということなので、一度作るとしばらく使える。ペースト状のほうも掃除に使いやすいだろうが、吉村さんは土に混ぜて、特別に肥えた土壌を作るという。

吉村さんの追加アドバイス

「えひめAIをお風呂にキャップ一杯いれるだけで、バクテリアの働きで浄化され、同じ湯を2-3回使うことができますよ。顔もツルツル。最後にお湯を捨てた後も、風呂釜のふちはきれいです。室内で洗濯物を干す時も、これを入れて洗っておくと匂いがしません。」